目次
「冷凍サイクルって何?」。冷凍3種を勉強し始めた初学者の多くが最初にぶつかる壁がこれです。冷凍サイクルは保安管理技術の根幹であり、ここを理解できれば試験問題の大部分に対応できます。
この記事では冷凍サイクルの仕組みを、できるだけわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 冷凍サイクルの基本的な仕組みと目的
- 4工程の詳細と冷媒の状態変化
- 各機器(圧縮機・凝縮器・膨張弁・蒸発器)の役割
- モリエル線図(p-h線図)の基本的な読み方
冷凍サイクルとは
冷凍サイクルは「熱を低温側から高温側へ移動させる仕組み」です。エアコンや冷蔵庫が「なぜ冷えるのか」を説明する基本原理です。
ポイント: 冷媒が熱を運ぶ
冷凍サイクルでは「冷媒」と呼ばれる作動流体が配管の中を循環し、蒸発・凝縮を繰り返すことで熱を輸送します。
- 蒸発器: 冷媒が液体→気体になる(蒸発)時に周囲から熱を奪う → 冷却効果
- 凝縮器: 冷媒が気体→液体になる(凝縮)時に周囲へ熱を放出する → 熱放出
この原理により、部屋の熱をエアコンの室外機へ捨てることができます。
4工程の詳細
冷凍サイクルは「圧縮→凝縮→膨張→蒸発」の4工程を繰り返します。
工程1: 圧縮(圧縮機 / コンプレッサー)
蒸発器から出てきた低圧・低温の冷媒ガスを圧縮機が圧縮します。
状態変化:
- 入口: 低圧・低温の気体(過熱蒸気)
- 出口: 高圧・高温の気体
なぜ圧縮するのか? 圧縮することで冷媒の圧力・温度が上昇し、凝縮器で熱を放出しやすい状態になります。圧縮機は電気モーターで駆動されるサイクルの心臓部です。
工程2: 凝縮(凝縮器 / コンデンサー)
高圧・高温のガスが凝縮器で冷却されて液体になります。
状態変化:
- 入口: 高圧・高温の気体
- 出口: 高圧の液体(過冷却液)
なぜ液体になるのか? 冷媒ガスが冷却水や外気に熱を放出するため、ガスが液体に変わります(凝縮)。夏のエアコン室外機が熱風を吹き出すのは、ここで熱を放出しているからです。
工程3: 膨張(膨張弁 / エキスパンションバルブ)
高圧の液冷媒が膨張弁の細孔を通過することで一気に圧力が下がります。
状態変化:
- 入口: 高圧の液体
- 出口: 低圧・低温の気液混合状態(一部が気化)
なぜ冷たくなるのか? 圧力が下がると冷媒の沸点が下がります。液体が気化する時には熱を吸収するため、膨張後の冷媒は非常に低温になります。
工程4: 蒸発(蒸発器 / エバポレーター)
低圧・低温の液冷媒が蒸発器で蒸発し、周囲から熱を奪います。
状態変化:
- 入口: 低圧・低温の気液混合状態
- 出口: 低圧の気体(過熱蒸気)
ここで冷却効果が生まれる 液冷媒が蒸発する際に大量の熱(蒸発潜熱)を周囲から吸収します。この熱を奪う作用が冷凍・冷却の実体です。蒸発後の冷媒ガスは再び圧縮機に戻ります。
冷媒の状態変化まとめ
| 工程 | 機器 | 冷媒の変化 | 圧力 | 温度 |
|---|---|---|---|---|
| 圧縮 | 圧縮機 | 低圧ガス → 高圧ガス | 低→高 | 低→高 |
| 凝縮 | 凝縮器 | 高圧ガス → 高圧液 | 高(一定) | 高→中 |
| 膨張 | 膨張弁 | 高圧液 → 低圧気液混合 | 高→低 | 中→低 |
| 蒸発 | 蒸発器 | 低圧液 → 低圧ガス | 低(一定) | 低(一定) |
モリエル線図(p-h線図)の基本
モリエル線図(p-h線図)は冷凍サイクルを視覚化するためのグラフです。
- 縦軸: 圧力(Pressure)
- 横軸: 比エンタルピー(Enthalpy, 熱量の指標)
冷凍サイクルをp-h線図上に描くと、4つの工程が四角形の形に現れます。
各工程のp-h線図での表現
| 工程 | 線図上の変化 |
|---|---|
| 圧縮(圧縮機) | 右斜め上方向(圧力上昇・エンタルピー増加) |
| 凝縮(凝縮器) | 左方向(圧力一定・エンタルピー減少) |
| 膨張(膨張弁) | 下方向(エンタルピー一定・圧力減少) |
| 蒸発(蒸発器) | 右方向(圧力一定・エンタルピー増加) |
試験での活用ポイント
- 「膨張弁ではエンタルピーが変化しない(等エンタルピー変化)」
- 「蒸発・凝縮は等圧変化」
- 「冷凍能力はモリエル線図のエンタルピー差で求める」
これらの知識が問われます。
冷凍サイクルの学習のコツ
コツ1: 図を手で描いて覚える
テキストを見ながら冷凍サイクルの図(圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器→圧縮機)を繰り返し手で描くことで記憶に定着します。
コツ2: 「熱の流れ」を意識する
蒸発器で熱を「吸収」し、凝縮器で熱を「放出」する。この2点を常に意識しながら各工程を理解すると全体像が見えてきます。
コツ3: 実物と結びつける
エアコンの室内機(蒸発器)が冷たい空気を出し、室外機(凝縮器)が熱い空気を出す。この日常的なイメージと冷凍サイクルを結びつけると理解が深まります。
まとめ
冷凍サイクルの要点をまとめます。
- 4工程の順序: 圧縮→凝縮→膨張→蒸発
- 冷却の仕組み: 蒸発器で冷媒が蒸発する際に周囲の熱を奪う
- 各機器の役割: 圧縮機(動力源)・凝縮器(熱放出)・膨張弁(流量調節)・蒸発器(冷却効果)
この4工程を「なぜそうなるのか」という理由と一緒に理解できれば、保安管理技術の多くの問題に対応できます。
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監修・執筆
setsucan 編集部
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