目次
消防設備士乙種第6類(乙6)に合格したら、次のステップとして消防設備士甲種第4類(甲4)の取得を目指す方も多くいます。甲4は自動火災報知設備の工事・整備・点検ができる資格で、ビルメンテナンス業界での市場価値が大きく上がります。
この記事では、乙6合格者が甲4へスムーズにステップアップするためのロードマップを解説します。
なぜ乙6から甲4へのステップアップがおすすめなのか
ビルメン業界での位置づけ
ビルメンテナンス(設備管理)業界では、消防設備士の複数類取得が評価されます。特に甲4は「自動火災報知設備(自火報)」という、ほぼすべての建物に設置されている設備の工事・整備が行える資格です。
乙6と甲4を両方持つメリット
- 消火器(乙6)と自動火災報知設備(甲4)の両方をカバーできる
- 消防設備工事会社・ビル管理会社での採用に有利
- 資格手当の積み上げで月給が上がる
消防設備士の中での甲4の需要
消防設備士の全類の中で、甲4は最も受験者数が多い類です。それだけ市場ニーズが高く、取得後の活躍の場が広いことを示しています。
消防設備士各類の受験者数(概算)
| 種別 | 担当設備 | 年間受験者数(概算) |
|---|---|---|
| 甲種第4類 | 自動火災報知設備 | 最多(約4〜5万人) |
| 乙種第6類 | 消火器 | 多い(約2〜3万人) |
| 甲種第1類 | スプリンクラー等 | 中程度 |
| 乙種第7類 | 漏電火災警報器 | 比較的少ない |
甲種第4類とは
甲4が担当する設備
消防設備士甲種第4類は、以下の設備の工事・整備・点検が行えます。
- 自動火災報知設備: 熱・煙感知器・受信機・発信機・ベル等からなる警報設備
- ガス漏れ火災警報設備: ガス漏れを検知する設備
- 消防機関へ通報する火災報知設備: 119番に自動通報する設備
これらは商業施設・オフィスビル・マンション・病院など、ほぼすべての建物に設置されており、設備管理業務で必ず関わる設備です。
乙4との違い
消防設備士には甲種と乙種があります。
| 種別 | 業務範囲 |
|---|---|
| 甲種第4類 | 自動火災報知設備等の工事・整備・点検すべて可 |
| 乙種第4類 | 自動火災報知設備等の整備・点検のみ(工事不可) |
甲種は工事もできるため、設備工事会社への就職・転職でより有利になります。
甲4の受験資格
甲種消防設備士には受験資格が必要です。乙6合格者には以下の受験資格があります。
受験資格の確認
消防設備士乙種取得による受験資格
消防設備士乙種を取得している方は、甲種の受験資格があります。乙6合格後すぐに甲4の受験申請が可能です。
その他の受験資格(参考)
- 大学・短大・高専で機械・電気・建築等の単位取得
- 電気工事士・電気主任技術者等の国家資格取得
- 設備会社での実務経験(5年以上)
乙6を取得していれば、学歴や実務経験に関係なく甲4を受験できます。
甲4の試験概要
試験科目と問題数
| 科目 | 問題数 | 合格基準 |
|---|---|---|
| 筆記:消防関係法令 | 15問 | 科目40%以上 |
| 筆記:基礎的知識(電気) | 10問 | 科目40%以上 |
| 筆記:構造・機能・整備(機械・電気・規格) | 20問 | 科目40%以上 |
| 実技:鑑別等 | 5問 | 60%以上 |
| 実技:製図 | 2問 | 60%以上(鑑別・製図合計) |
甲4の試験は乙6より実技試験の難度が上がります。製図問題(感知器の配線図を描く問題)が追加されることが最大の違いです。
合格率
甲4の合格率は**30〜40%**程度です。乙6(38〜42%)と大きな差はありませんが、製図問題の対策が必要です。
乙6合格者が甲4を取得するための学習戦略
共通事項を活かす
乙6と甲4は、消防関係法令の基礎的な部分が共通しています。乙6合格者はこの部分の復習を短時間で済ませ、甲4固有の内容に学習時間を集中できます。
乙6と甲4の共通事項
- 消防法の基本的な規定(法の目的・防火対象物の分類)
- 点検・報告の頻度(機器点検6ヶ月・総合点検1年・特定防火対象物毎年等)
- 消防設備士免状の書換え・再交付
- 消防設備士の独占業務・甲種と乙種の違い
甲4固有の学習ポイント
乙6にはない、甲4独自の学習事項です。
1. 電気の基礎知識
甲4の基礎的知識は「電気」が中心です。乙6の「物理・化学」とは異なります。
- オームの法則(V=IR)・キルヒホッフの法則
- 直列・並列回路の計算
- 静電容量・コイル・抵抗の基本
- 電気計測器の使い方
2. 自動火災報知設備の構造・機能
- 感知器の種類(差動式・定温式・煙式・炎感知器等)と作動原理
- 受信機の種類(P型・R型)と機能
- 発信機・音響装置・非常電源の規定
- 配線・端子・ターミナルの知識
3. 製図問題の対策
甲4最大の難関が製図問題です。
- 感知器の設置計画(感知器の種類・設置個数の算定)
- 配線図の作成(系統図・平面図)
- 受信機の接続方法
製図問題は独学での対策が難しいため、参考書に豊富な図例が掲載されているものを選ぶか、通信教育・講習を利用するのも一つの方法です。
推奨学習時間と期間
乙6合格者が甲4を取得するための学習時間の目安です。
| 出発点 | 目安学習時間 | 期間(1日1.5時間) |
|---|---|---|
| 乙6取得後すぐ(設備系経験なし) | 100〜150時間 | 2〜3ヶ月 |
| 乙6取得後(設備管理の実務経験あり) | 60〜100時間 | 1.5〜2ヶ月 |
| 電気系資格(電工2種等)も保有 | 60〜80時間 | 1〜1.5ヶ月 |
製図対策に十分な時間を取ることが重要です。全学習時間の30%程度を製図に充てることをお勧めします。
乙6→甲4へのロードマップ
推奨スケジュール
乙6取得から甲4合格までの標準的な流れ
| 時期 | 行動 |
|---|---|
| 乙6合格後すぐ | 甲4の受験資格確認・試験日程確認 |
| 合格から1〜2ヶ月後 | 甲4の学習開始・参考書購入 |
| 合格から3〜4ヶ月後 | 甲4受験・合格 |
| 合格から4〜6ヶ月後 | 甲4免状取得 |
乙6合格の勢いを活かして、間をおかずに甲4の学習を始めることが最も効率的です。
乙6と甲4以外のおすすめ追加資格
消防設備士を複数取得した後は、以下の資格も検討すると設備管理業界での活躍の幅がさらに広がります。
- 電気工事士第1種: 電気設備の工事範囲が広がる
- 第2種電気工事士(未取得の場合): ビルメン4点セット完成
- 消防設備点検資格者: 消防設備全般の点検が可能
- ビル管(建築物環境衛生管理技術者): ビルメンテナンスの上位資格
あわせて読みたい
まとめ
- 甲4は「自動火災報知設備」の工事・整備・点検ができる、ビルメン業界でニーズの高い資格
- 消防設備士乙種(乙6含む)を取得していれば、甲4の受験資格がある
- 乙6合格者は共通法令の復習を省力化でき、甲4固有の電気知識と製図対策に集中できる
- 乙6取得後の学習期間の目安は100〜150時間・2〜3ヶ月
- 製図問題が甲4最大の難所。全学習時間の30%程度を製図対策に充てることが合格への近道
- 乙6合格の勢いを活かして、間をおかずに甲4の学習を始めることが最も効率的
関連する資格ページ
監修・執筆
setsucan 編集部
設備管理・保安資格の取得支援に特化した学習プラットフォーム。現役のビルメンテナンス技術者や設備管理の専門家が監修した正確で実践的な情報を提供しています。